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第91回日本音楽コンクール(主催=毎日新聞社・NHK、特別協賛=三井物産、協賛=岩谷産業、協力=東京オペラシティコンサートホール・トッパンホール)は8月18日の予選開幕から10月26日の本選終了まで、若き才能が輝いた。今回は作曲(オーケストラ)、ピアノ、バイオリン、オーボエ、声楽(歌曲)、フルートの6部門(本選開催順)。全部門を通じて最も印象的な奏者に贈られる「増沢賞」は、バイオリンの渡辺紗蘭に決まった。作曲部門は審査員5人が譜面を採点し、入賞作を決定。演奏部門は審査員が各25点満点で評価し、最高点と最低点を1件ずつ除いた合計点で順位を付けた。声楽を除く演奏部門は、本選結果に最終予選での得点の60%が加算されている。全部門本選の採点表および審査幹事(作曲は全審査員)の講評を公開する。(同位は演奏順、敬称略)
◆バイオリン
安定の技術、増沢賞 渡辺紗蘭さん
岩谷賞(聴衆賞)若生麻理奈
今年の本選出場者4人のうち3人は中高生で日本のバイオリン界の層の厚さに安堵(あんど)するとともに4人の今後の活躍が楽しみである。気になる点は、全般的に第3予選の課題にあったソナタの完成度が他曲に比べ劣ることだった。我が国の音楽教育のなかで、室内楽の多角的指導の必要性を強く感じた。
1位の渡辺紗蘭は安定したテクニックで特にバルトーク協奏曲第2番の2楽章が美しく印象に残った。
2位の青山暖は昨年入選している実力者だが一段と安定した技術で力強いシベリウス協奏曲を演奏した。
3位の若生麻理奈は技術と音楽性のバランスが優れた演奏で今後が非常に楽しみである。
入選の栗原壱成は最も音楽性豊かな演奏であったが、…
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