2019年11月12日(火) ドルチェ・アーティスト・サロン大阪
エマニュエル・パユ 公開マスタークラス
2019年11月12日火曜日 開場/17:30 開演/18:00
会場:ドルチェ・アーティスト・サロン大阪
一般 4,000円、DMC会員3,000円、DMC会員学生 2,500円
1.横井茂虎(滋賀県立石山高等学校2年生)
ジョリヴェ:フルート協奏曲
生徒さんは、無伴奏で演奏されました。私はかなり驚きましたが、一通り演奏が終わると、パユが「ソロで聴くと、細かいところまでしっかりと分かるので良いです」とおっしゃいました。
「自分がこの曲を練習していた時のことを思い出しました。ひとりで演奏していて、良いところは、自分の音質と向き合えることです。
あなたは音が終わるあたりで、アンブシュアが開くので、息の音、雑音が聞こえる。
きれいな音で演奏するために、マルセル・モイーズのソノリテを毎日、演奏してください。音が0から始まって、0で終わる、それを常にきれいな音で演奏します。テンポは、50くらいでいいです。良い音を出すのに、魔法の杖はないです。練習のみです。
鼻の穴を常に開いている感じです。すると、口の上のあたりの筋肉と連動します。これは、わさびポイントの話と通じるものがあります」
わさびポイントというのは、わさびがつんと額にくるあたりを意識して、演奏するという、パユがレッスンでよくされる話です。外国人の生徒さんのレッスンでも、わさびの話をされています。それが、下の動画です。わさびの話は6分過ぎに出てきます。
「あなたの楽譜に鉛筆でいろいろと書いていますが、楽譜にもともと書いてあることを忠実に実行する、ということに意識を向けた方がいいです。
オーケストラの試験でも、コンクールでも、楽譜に書いてあることがきちんとできているかを審査員はみます。余計なことをする必要はありません。
最初の4小節は、pです。大きくしていかないで。琵琶湖が静かにたたずんでいる感じです。水平な感じです。
この曲は、コンクールの曲です。私自身も、コンサートではこの曲を2回しか演奏したことがありません。でも、コンクールではたびたび課題曲になります。
表現をしようとしているのは分かるけれども、それを音の大きさでしようとしないこと。ダイナミクスと表現は別のものです」
「3連符でテンポが遅くならないように。ここは、四分音符だけれども、あなたのだと四分音符の長さがない。楽譜通りに」
「最初の4小節のpの部分は、最初に吹いた時よりも、レッスンをしていて、とても良くなりました」
2.去来川萌子(同志社女子大学卒業)
モーツァルト:フルート協奏曲第1番
この方は、カデンツをパユのものを使っていらっしゃいました。ですから、一通り演奏した後、パユが「まずカデンツからいきましょう」とおっしゃって、「この音はこう」と指摘されてから、「生き生きとしていて、感じのいいカデンツでした。自分以外の人が演奏するカデンツを聴くのはいいものだ」ということでした。
「冒頭は、威厳がある感じで。ちゃらちゃらした感じではなく、シンプルに」
「モーツァルトの時代は、バロックフルートで、大きな音を出せなかった。特に低音は。なので、モーツァルトは強弱記号をほとんどつけていない。その代わり、アーティキュレーションの指示をしている。そのアーティキュレーションはきちんと表現しないといけない」
「短調と長調の変化をきちんとつけて」
「この曲は、音階とアルペジオで、ほとんどができているといってもいいので、音階なのかアルペジオなのかを考えて」
「トリルの入れ方は、ロジカルに。気分でいろいろと違わせないで。こうと決めたら、そうすること」
おふたりのレッスンの後は、15分の休憩があり、ヘインズフルートとフォリジヘッドジョイントのスペシャルデモンストレーションがありました。
Q3とQ4のフルートが新製品らしいです。
パユのお話は、「銀のフルートは、フルート四重奏曲をサロンで演奏する場合には、なじむ。私は、1,000人から2,500人規模のホールで演奏するので、金があっている。
選ぶ時のポイントは、自分がどれだけの空気を使って演奏しようと思っているか。金は、空気がたくさん必要。」
30分くらい、デモンストレーションがあって、その後、CDを買った人向けに、サイン会がありました。