本
音楽とその音楽を聞いていた時の気持ちのつながり
将棋棋士をめざして奨励会にいたけれども、三段で奨励会を退会して、その後、舌癌を宣告された天野貴元さんの著書「オール・イン」を読みました。私は、将棋の奨励会について書かれた本は、今までにも、それなりに読んでいます。
この本の中の、奨励会時代の部分で印象に残ったのは、「モーツァルトは脳にいいと聞いて、当時はトルコ行進曲をよく聞いていた。だから、今でも、トルコ行進曲を聴くと、苦しくなる」という内容の部分です。音楽は、その音楽を聴いていた時の状況や気持ちとつながっているということは、聞いたことがありますが、これほどの生々しいつながりが、リアルに感じました。
それにしても、今は将棋の世界も、人間よりもコンピューターの方が強くなってしまい、大変です。昔は、将棋のプロは、どこにプロの価値があったかというと、将棋の強さでした。でも、今では、強さに価値がなくなってしまいました。何か別のものに価値を見出すか、付加価値を探すのか、人間にとって、難しい時代になったな、と感じます。