マチュー・デュフォーのマスタークラスに行ってきました(2022年10月10日)
10月10日に、ドルチェ・アートホールNagoyaへ、マチュー・デュフォーのマスタークラスに行ってきました。内容をまとめておきます。生徒さんは、ふたりでした。レッスンは、英語でした。
C.P.E.バッハ: 無伴奏フルートのためのソナタ イ短調 WQ132
バロック音楽について話すのは、難しい。音の方向性について。バロック時代のバイオリンのボーイングは、どうだったか知っていますか。バロック時代にヴィブラートがなかったというのは、間違い。(デュフォーが、手で、左から右に下半円のような形を描いて) アップのボーイング。
最初の音に、^(キャロット)がついている。スタッカートではない。驚きを持ったアクセント。ふたりが話すように吹く。
無伴奏フルートは、大きい音で吹く必要はないので、どの音量で吹けば、自分が快適かを考える。
円をイメージして、1音目の低い音のエネルギー(円の下)を、2音目からの上の音に持っていく。最初の数小節は、円のイメージ。音がない部分が重要。
バロック音楽は、いつも踊りを意識して。アップ-ダウン。アップは、アポジャトゥーラ。
カデンツは、人によっては、高いファ#まで使うのを作る人がいるが、バロック時代のフルートでは、この音域の音は、出にくかったし、音質としても問題があったから、自分なら、中音域で、カデンツを作る。
第2楽章の2番目(ダウンビート)の音を出す時に、足を踏んでみてください。強拍を意識しやすくなる。
今日、私が話したことは、ひとつのアイデア。全然違うな、と思ったとしてもかまわない。私も、昔は、今日話したこととは、違う演奏をしていた。演奏は、毎年変えている。
あなたは、ボーイング、アーティキュレーションを意識すると、もっと良くなる。
オーケストラスタディ
〔フォーレ: ペレアスとメリザンドより「シシリエンヌ」〕
ハープがリズムを刻んでいるので、それを意識する。そうでないと、オーケストラの中で遅れる。
4小節目は、バイオリンのピッチカートがあるので、生き生きと。いつも、オーケストラのスコアの中に、答えがある。
オーケストラの中で、フルートの高音のアクセントが目立つので、体のテンションを開放して、吹く。
〔グリーグ: ペールギュント組曲より「朝」〕
冒頭は何を表現したいか。だるい朝ではないでしょう。朝起きて、窓を開けて、朝日がのぼって、ビッグスマイル。笑う時、まゆげがあがります。ほんのちょっとイメージ(happy to see the sun) をするだけで、明るい音が出る。
フルートが伸ばすところ。吹く前から、ヴィブラートをかける感じで。テーマを考えながら。
〔ドヴォルザーク: 交響曲第8番より、第4楽章〕
私も、この曲は、20回、30回と演奏しているが、毎回違う。
〔ベートーヴェン: 交響曲第4番より、第2楽章〕
ソロは、pなので、難しい。うるさくないよう、歌って。速すぎないよう。
〔ビゼー: カルメンより「間奏曲」〕
最初のハープをよく聴く。ハープで、フルートの音楽のラインが決まる。大きく吹くと、テンポが遅くなりがち。ハープは、フルートにあわせてくれるが、ハープのテンポ感をくずさないこと。オペラの中では、シンプルなシーン。カルメンが窓を開けるような、ドラマを感じて欲しい。ppは、音量ではなく、表現を考える。